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GENESISをふりかえる

・東京創元社のSFアンソロジーシリーズ「Genesis」の最後に装画を担当した号が8/12に発売される。元々単行本で刊行されていたが、3年前から雑誌『紙魚の手帖』の夏のSF特集として合併された。単行本の創刊号から8年間描かせていただいたことになる。毎年、編集の方、デザイナーの方とどんなテーマの装画にするのか話し合うも楽しかった。自由に描かせていただいたのでどれも思い出深く、折角なので備忘録も兼ねて簡単に振り返る。

『Genesis 一万年の午後 創元日本SFアンソロジー』

・テーマは「宇宙×工場」。月面にあるうさぎ工場を描いた。おもち製造機などを参考に発想を膨らませて考えていった。最初は表1だけのご依頼だったが、途中から表4まで回すことになり、慌ててラインを増築した。この人物は共通して登場していく。

『Genesis 白昼夢通信 創元日本SFアンソロジー2』

・テーマは「学校×恐竜」。授業中に窓の外を見たら恐竜たちの時代に繋がっていたという様子。さりげなく帯に隠れる部分に哺乳類の祖先を描いたらそれに言及してくださる方もいて嬉しかった。

『Genesis されど星は流れる 創元日本SFアンソロジー3』

・テーマは「団地×海』。団地の資料用に近所の団地に写真を撮りにいったら怪しまれて申し訳なかった。潜っていくような俯瞰の構図に。特に気に入っているのは植木鉢をすみかにしているタコ、ジンベエザメとコバンザメ。

『Genesis 時間飼ってみた 創元日本SFアンソロジー4』

・テーマは「オフィス×動物」。動物たちはそれぞれ体格や特性が違うのでどんなオフィスにするか迷ったが、フリーアドレスで椅子や机に制約がないものにした。ネタ出しが楽しかった思い出がある。ヨウムの電話番がお気に入り。

『Genesis この光が落ちないように 創元日本SFアンソロジー5』

・テーマは「温室×鳥」。この号で単行本としての刊行は最後だと伝えられていたため、祝祭的なムードを描くことにした。地面も天井も描きたかったので歪んだレンズで撮影したような不思議なパースにした。植物も鳥も好きなので、モチーフが多く一番大変だったが楽しく描いた。

『紙魚の手帖 vol.12 Genesis 夏のSF特集』

・この年からGenesisは単行本ではなく雑誌『紙魚の手帖』の夏のSF特集として掲載されることになった。装丁も、今まではnext door designの小柳さん、長﨑さんが担当してくださっていたが、アルビレオさんが担当してくださることに。表紙の面積が狭く文字も多いので、一枚絵ではなくパーツごとに描いてデザインいただくスタイルで納品している。

・テーマは「時間」。SFのおハコでもあるテーマ。時計の歯車や星の軌道、咲いて枯れていく花など、幅広く描いた。カメは『モモ』のイメージ。

『紙魚の手帖 vol.18 Genesis 夏のSF特集』

・テーマは「架空の都市」。どこか懐かしい雰囲気の街を描いた。勝手に組み合わさって増えていくような街が好き。

『紙魚の手帖 vol.24 Genesis 夏のSF特集』

・テーマは「宇宙」。創刊号と同じ宇宙で締めることに。壊れた宇宙都市の中で、AIが搭載されたロボットと友情を育んでいる、という設定を考えながら描いた。8年間描いてきたこの人物が、寂しい場所でも幸せに過ごしているといい。

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