Diary
地図上のネコ
・先日、取材で高知に行った際に、「沢田マンション」へ行った。
・沢田マンションは、セルフビルドの鉄筋コンクリートマンションで、建築確認申請を出さずに作られているため、日本最大の違法建築物とも言われている。全ての工程をオーナーご夫婦とその家族だけで作り上げた建築だと聞いて、以前より一度見てみたかった。
・マンションは想像を超えた大きさだった。増改築を重ねているため、みる方向によって印象がだいぶ変わる。一階には売店があり、野菜や沢田マンショングッズが売られていた。店先では、住人の方が見たことがない野菜の下ごしらえをしながら店番をしていた。聞くと、その野菜はイタドリといい、高知県ではよく食べられている山菜の一種だという。塩揉みをして冷凍すれば長期保存も可能なため、昔は保存食として重宝されていたらしい。旅先で荷物を増やすことに躊躇したが、好奇心に負けて持ち帰って食べてみた。油との相性が良いらしく、炒めものにしてみたら歯ごたえが良いきんぴらになりおいしかった。
・沢田マンション内は、立ち入り禁止ゾーンや撮影禁止ゾーンを守るのであれば、見学時間内に見学することができる。売店で買った地図を片手に見学させていただいた。マンションの地下1階から5階は、ゆるやかなスロープでつながっている。さっきまで2階を歩いていたはずがいつの間にか4階にいたりする。スロープは、いざという時にストレッチャーや車椅子でも移動できるようにするために後から設置したものだそうだ。
・ベランダには部屋毎の仕切りを設けておらず、通路の役割も果たしている。住民同士は、なんとなくお互いの安否を確認できる。
・スロープの脇には植物が植えられており、コンクリートのマンションでもなんだか自然をすぐ近くに感じられる。4階には池があり、コイが悠々と泳いでいた(4階に池?)。屋上には家庭菜園と、自作の巨大なクレーンまであった。
・地図上には飼われている動物たち(ネコ、ニワトリ、ウサギ、カメなど)が図示されていたのだが、ケージに入っていないネコが地図の通りの場所にいて不思議だった。ネコは見学者に慣れているのか、私を横目で見ただけで、ずっとうとうととしていた。文鳥もいて嬉しかった。
・実際に足を運んでみると、セルフビルドとはとても思えない大きさに圧倒された。植栽や池など、マンションでも生活の端に庭があるようなところも素敵だ。柔軟な発想で作られた唯一無二の建築だと思う。民泊や短期ステイなどもできるようなので、機会があればいつか泊まってみたい。