Diary
失われた国の生活道具でミルクを温める
・青山ブックセンター本店で行われていた『カシワイ作品集』の刊行記念展が終わりました。展示では線画の原画と着彩後のパネルを中心に展示しました。初めてのサイン会も緊張して前後ほぼ眠れませんでしたが、たくさんの方にお会いできて嬉しい時間でした。展示はこれでひと段落となりますが、画集は引き続き全国の書店で販売中です。
・表紙と裏表紙のイラストの複製原画も12/22の22時から販売されるそうです。
私も見本をいただきましたが素晴らしい印刷の出来です。期間限定の取り扱いとなりこの先はおそらく販売の機会はないのでぜひご検討ください。
https://illustmag.base.shop
・少し前に蚤の市で青いホーロー製のミルクソースパンを手に入れた。ヨーロッパの古道具を扱うお店の雑多な箱の中から可愛らしい花柄に惹かれて手に取り底を見ると「MADE IN YUGOSLAVIA」と書かれていた。
・ユーゴスラビアは1991年から2003年頃までの紛争によって解体され、今はいくつかの国(セルビア、クロアチア、スロベニア..etc)に分かれている。旅先で読んだ『ベオグラード日誌』(著:山﨑佳代子さん ちくま文庫)には、セルビア語と日本語を行き来しながら詩人の言葉で書かれたささやかな生活の端々に、その紛争による空爆の記憶や難民の子どもたちとの交流などが挟み込まれる。歴史の記録としての「紛争を経て国は解体された」という一文には残されない、小さな声の言葉たち。
・ミルクソースパンで温めたミルクを紅茶に入れる。湯気のたつミルクティを飲みながら、かつてあった国と現在そこで暮らす人々のことを思い浮かべる。

